浜崎しっちょる会

山口県萩市は「夏みかんと土塀の城下町」として知られています。皆さんも萩といえば武家屋敷が建ち並ぶ光景をイメージされることでしょう。
浜崎地区は、それとは異なる「商人の町」で、廻船業や水産業で繁栄し江戸時代の萩藩の経済活動を担った港町でした。北前船が寄港し、また浜崎の商人も廻船を持って交易を行っていました。物流が海運中心だった昭和初期まで、町は活況を呈し、問屋や物資を商う大店が建ち並んでいました。現在も江戸時代の建物で生活されているお宅がいくつかありますが、どれも当時の財力を感じさせる梁や柱、中庭を持つ重厚な町家です。
浜崎地区には江戸時代の建物が40棟以上、明治期の建物が48棟以上、大正・昭和初期の建物が50棟程度残っており、藩主の御座船を納めた国指定史跡「旧萩藩御船倉」と共に古い町並みを形成しています。

この浜崎のよさを掘り起こし、町並み、港、さかな等の魅力を発信しようと、平成10年2月に「浜崎しっちょる会」が発足しました。「しっちょるかい」は、知っていますか?という山口弁です。
会員は現在約60人です。会の活動として、毎年5月に「浜崎伝建おたから博物館」を開催しています。これは、各家に展示した由緒あるお宝を見ていただくと共に、食堂や露店も出して、浜崎の古い町並みと食事や買い物を楽しんでもらおうというイベントです。他にも「御船倉コンサート」「御船倉寄席」や「浜崎朝市」など、会員と地域住民による手作りのイベントを開催しています。

これらの活動が基盤となり、平成13年、浜崎地区は国の重要伝統的建造物群保存地区の選定を受けました。これまでに約50棟の伝統的建造物の保存修理が行われ「旧山中家住宅」「旧山村家住宅」「旧小池家土蔵」などの建物整備も行われました。これらは市所有の文化財施設ですが、管理業務については、しっちょる会が委託を受けて公開を行っています。
また、伝建地区を訪れる観光客の方に町並みを楽しんでいただくため、まち歩きガイドも行っています。

このように、浜崎しっちょる会は、浜崎を萩市の「おたから」として、歴史的町並みを保存・活用したまちづくりを進めるとともに、地域を元気にする活動を行っています。